ChatGPTが高市首相への工作を「拒否した」話、何が怖いって拒否されなかった先の話なんよ

中国の当局関係者がChatGPTを使って、高市早苗首相の信頼を落とそうとしていた——OpenAIが公式に報告した。深夜にこのニュースを見たとき、背筋がちょっと冷えた。
何が起きたのか、ざっくり整理する
OpenAIが2026年2月に公開した報告書「Disrupting Malicious Uses of AI」に、その詳細が記されている。読売新聞やBloombergなど複数メディアの報道によると、事の発端は2025年10月。高市首相が内モンゴルの人権状況を公に批判したことへの、いわば「報復」として計画されたものだったとされる。
ChatGPTに出された指示は多段階に及ぶ。SNSでの否定的コメントの大量投稿、外国人居住者になりすましたアカウントでの圧力、「生活費が苦しいのは首相のせい」と煽るコンテンツの生成、高市首相を「極右」とラベリングするミームの拡散——。
ただし、ここが肝心なところで——拒否されたあと、工作は止まっていない。CNNの報道によれば、攻撃者はDeepSeekやQwenといった中国製AIに切り替えて、実際に西側のSNSプラットフォームへ5万件超の投稿を行ったという。
「拒否できました」で終わらない理由
OpenAIが工作を検知してブロックした。それ自体は評価していい。でも、ちょっと冷静に考えてみてほしい。
5万件の投稿が実行された。そのうちまともなエンゲージメントを獲得したのは150件未満だったとされる。数字だけ見れば「大した影響なし」と片付けられそうな話ではある。
「AIで世論操作なんて、バレバレでしょ」「結局エンゲージメント低いなら意味ない」という声もネット上では見られる
その見方も分かる。けど、問題はそこじゃない。150件でも「刺さった」投稿があったこと。そして今回は検知できたけど、次も検知できる保証はどこにもないこと。もっと言えば、一つの省だけで300人以上のオペレーターが同様の工作に関わっているとOpenAIの報告書は指摘している。これは一個人の暴走ではなく、組織的なオペレーションの一端が「たまたま」可視化されただけだ。
各国の反応と、日本政府の温度感
中国外務省の毛寧報道官は「事実無根であり、根拠のない中傷に断固反対する」と否定した。予想通りの反応ではある。
| 関係者 | 反応 |
|---|---|
| OpenAI | アカウント停止、報告書で詳細公開 |
| 中国外務省 | 「事実無根」と全面否定 |
| 林官房長官 | 「国家安全保障上の脅威」と表明 |
| 高市首相事務所 | 「民主主義の根幹を脅かす行為、緊急対策が必要」 |
高市首相自身はAI Impact Summitで国際協力の必要性を訴えたとされる。ただ、具体的な規制案や対抗措置までは現時点で踏み込んでいない。言葉としては「強い懸念」だが、アクションプランがまだ見えない段階にある。
深夜に考える——AIが「武器」になる時代のリアル
今回の件で一番ぞっとするのは、工作の「質」じゃなくて「手軽さ」のほうだと個人的には思っている。
かつて世論操作といえば、大量の人員と時間と資金が必要だった。今はAIにプロンプトを打ち込むだけで、多言語対応のプロパガンダが秒単位で量産できる。ChatGPTが拒否しても、別のAIが引き受ける。オープンソースのモデルならそもそもガードレールを外せる。
「選挙の前にこういうの仕掛けられたら、どうやって見抜くの?」「AIが作った文章かどうか、もう普通の人には判別できないでしょ」といった不安の声も出ている
その不安は、たぶん正しい。2026年の今、私たちがSNSで目にする投稿の何割が「本物の人間の意見」なのか。正直、誰にも分からなくなりつつある。
じゃあ、私たちにできることはあるのか
国家レベルの情報戦に個人が対抗するのは無理がある。でも、一つだけ確実に効くことがある。「一つのソースで判断しない」という、地味だけど強力な習慣だ。
今回の件も、読売新聞だけ読むのと、OpenAIの原文レポートまで辿るのとでは、受け取る印象がかなり違う。どのメディアも切り取り方にクセがある。それはイマシルも含めて、だけど。
深夜2時にスマホで見るニュースは、どうしても感情に引っ張られやすい。「怒り」や「不安」を感じたら、それは誰かが意図的に設計した感情かもしれない——そう一瞬だけ立ち止まれるかどうかが、たぶん今いちばん大事なリテラシーになっている。
AIが国家の情報工作に使われている現状、いちばん気になるのは?