TOTOが風呂の受注を止めた——原因を辿るとホルムズ海峡に行き着いた

TOTOが4月13日付でユニットバスとシステムバスの新規受注を停止した。再開の見通しは立っていない。原因をたどると、ホルムズ海峡に行き着く。
何が止まったのか
4月13日、TOTOがユニットバス・システムバス・トイレユニットの新規受注を停止したと複数のメディアが報じている。日本経済新聞によれば、天井や壁のフィルム接着剤やコーティング剤に使われる有機溶剤が足りなくなっているという。有機溶剤の原料はナフサ——石油精製で出る粗製ガソリンの一種で、その供給元がいま止まっている。
再開時期は決まっていない。「当面の間」のような目安すら示されておらず、完全に未定とされる。
「リフォームを考えていた我が家は絶望」「中古のユニットバス、値上がりするんじゃないか」という声もある
株式市場も即座に反応した。TOTO株は一時前週末比8.8%安の5226円をつけている。タカラスタンダードが約6%安、LIXILも約4.7%安と、住宅設備セクター全体に売りが広がった。
対象: ユニットバス・システムバス・トイレユニット(全シリーズ)
開始日: 2026年4月13日
原因: ナフサ不足による有機溶剤の供給途絶
再開見通し: 未定
ホルムズ海峡から浴室まで
なぜ「お風呂」と「中東」がつながるのか。
ナフサは石油精製の過程で取れる粗製ガソリンで、プラスチック・合成ゴム・接着剤など工業製品の基礎原料になっている。日本国内の精製所で作れるナフサは需要の約3割にとどまり、残りの7割は輸入頼み。その大部分がホルムズ海峡を通過するルートで届いていた。
国内自給: 需要の約30%
輸入依存: 約70%(大部分がホルムズ海峡経由)
国内精製所稼働率: 67.7%(過去最低水準)
4月8日のホルムズ海峡通過船舶: わずか7隻
イラン情勢の悪化でホルムズ海峡が事実上封鎖されて以降、国内の石油化学コンビナートは次々と減産に入った。ナフサにはガソリンや軽油のような長期備蓄の仕組みがなく、供給が止まればモノが作れなくなる。TOTOだけの問題ではない。LIXILも生産・出荷・受注の制限を行う可能性があると発表しており、住宅設備業界全体に波及する兆しが見えている。
リフォーム予定だった人はどうなるのか
新築でユニットバスを入れる予定だった人、浴室リフォームを計画していた人にとって、スケジュールが完全に読めない状況になっている。
「契約済みだけど納期がどうなるのか不安」「他メーカーに切り替えるべきか悩んでいる」といった声がネット上では広がっている
住宅設備業界には過去のパターンがある。供給途絶で一度上がった価格は、原因が解消されても元に戻らないケースが多い。2020年代前半のウッドショックや半導体不足でも、同じことが起きていた。
| あなたの状況 | いま取れるアクション |
|---|---|
| 契約済み・発注済み | 施工会社に納期の再確認を早めに取る |
| これから発注予定 | TOTO以外のメーカーの在庫状況も確認(ただしLIXILも制限の可能性あり) |
| 急ぎではない | 情勢の推移を見て判断。焦って割高な契約を結ばない |
「お風呂」で見えてくるもの
深夜にこの記事を読んでいるあなたが明日入る風呂は、大丈夫。蛇口をひねれば湯は出る。
ただ、「新しい風呂に替えたい」という当たり前の消費行動が、はるか中東の海峡ひとつで止まるという現実がある。日本は原油輸入の約95%を中東に依存し、そのうち約93%がホルムズ海峡を通過するとされている。エネルギーの話だと思っていたら、接着剤やコーティング剤のような「意識すらしない素材」まであの海峡に握られていた。
TOTOの受注停止は、住宅設備のニュースであると同時に、サプライチェーンの脆さが「お風呂」という身近なモノで可視化された出来事でもある。再開の見通しはなく、ホルムズ海峡の情勢次第。外交的解決の糸口は、今のところ見えていない。
TOTO受注停止、一番気になるのは?