アクティブリコール・分散学習・インターリービング、効果量で並べた記憶研究3手法

アクティブリコール、分散学習、インターリービング。記憶研究の定番3手法を、論文の効果量で順位づけしてみた。
並べる前に — 効果量という物差し
Cohen's d(コーエンのd)は、2群の差を標準偏差で割った値。0.2で小さい効果、0.5で中程度、0.8で大きい効果とされる。心理学・教育研究では「介入が本当に効いたか」を比較する共通言語になっている。
今回の比較対象
・アクティブリコール(検索練習・テスト効果)
・分散学習(スペースド・プラクティス)
・インターリービング(科目混合練習)
いずれも Dunlosky et al. (2013) のレビューで中〜高有用性と評価された手法。
・アクティブリコール(検索練習・テスト効果)
・分散学習(スペースド・プラクティス)
・インターリービング(科目混合練習)
いずれも Dunlosky et al. (2013) のレビューで中〜高有用性と評価された手法。
3手法を切り替えて見比べる
アクティブリコール — 思い出す行為そのものが記憶を作る
中身を見ずに思い出す。シンプルな手続きが、記憶定着では最も強い効果を出してきた。
Karpicke と Roediger が2008年に Science 誌に発表した研究では、テキストを再読したグループの1週間後の再生率が約40%だったのに対し、繰り返し思い出す練習をしたグループは約60%まで伸びている。1.5倍の差。
Dunlosky らの2013年レビューは、教育心理学で広く参照される評価論文。10の学習法のうち「高い有用性」と評価されたのは2つだけで、アクティブリコールはその一角に入った。
仕組み
再読は「知っている感覚」を強める。テスト形式は「取り出せる状態」を作る。試験で必要なのは後者だ。
再読は「知っている感覚」を強める。テスト形式は「取り出せる状態」を作る。試験で必要なのは後者だ。
4軸での評価
実践は単純で、教科書を閉じて白紙に書き出す、自作の問題を解く、声に出して説明する。難しいと感じるのが正しい。脳が「取り出す」処理を実際にやっている証拠だから。
並べた結果 — 順位はこうなる
| 順位 | 手法 | 代表的効果量 | Dunlosky評価 |
|---|---|---|---|
| 1 | アクティブリコール | d ≈ 0.5〜0.8 | 高 |
| 2 | 分散学習 | d ≈ 0.4〜0.6 | 高 |
| 3 | インターリービング | d ≈ 0.42 | 中 |
※ 効果量は対象課題・年齢層・測定タイミングで幅があるため、代表的メタ分析の値を示した。詳細は各論文を参照。
共通する1つの原理
3つに共通するのは「脳に負荷をかける」こと。再読より思い出す方が苦しい。一気にやるより間隔を空ける方が忘れている。同じ問題を続けるより混ぜる方が判断に迷う。望ましい困難(Desirable Difficulties)と呼ばれる。
3つに共通するのは「脳に負荷をかける」こと。再読より思い出す方が苦しい。一気にやるより間隔を空ける方が忘れている。同じ問題を続けるより混ぜる方が判断に迷う。望ましい困難(Desirable Difficulties)と呼ばれる。
組み合わせが現実解
3つは独立じゃない。Anki でカードを作って毎日少しずつ復習するなら、検索練習と間隔反復が同時に走っている。問題集を章ごとではなくランダムに解けば、そこにインターリービングが乗る。
順位は参考程度。1番だけやるより、3つ混ぜた方が当然強い。
記憶に残したいものがあるとき、まずどれを使う?