新潟県知事選、花角氏3選確実 — 期日前は過去最高なのに当日が伸びない『ねじれ』を読む

新潟県知事選挙は5月31日に投票が行われ、現職の花角英世氏が3回目の当選を確実にした、とNHKなどが報じている。原発をめぐる争点を抱えた選挙でありながら、投票率は前回を大きく下回ったとされる。深夜にスピーカーから流れる開票速報を聞きながら、この数字の奇妙さに引っかかった人もいるはずだ。
当日の投票率は、前回より7ポイント以上低かった
BSN新潟放送や日テレ系TeNYの報道によると、午後4時時点の推定投票率は18.70%。前回知事選の同時刻と比べて7.43ポイント下回ったとされる。最終的な数字はこれより上がるものの、低調なペースだったことは間違いない。
3選を目指す現職に2人の新人が挑む構図で、原発再稼働や県政の方向性が問われた選挙だった。争点がはっきりしていたはずなのに、足は重かった。
・花角英世氏が3回目の当選確実(NHKほか)
・午後4時現在の推定投票率 18.70%、前回比マイナス7.43ポイント(BSN・TeNY)
・一方で期日前投票率は18.13%で、前回を3ポイント以上上回り過去最高水準(dメニューニュースほか)
奇妙なのは、期日前投票が『過去最高』だったこと
ここに、この選挙のいちばん面白い数字がある。当日の足は鈍かったのに、期日前投票だけは伸びていた。dメニューニュースの報道では、期日前投票率は18.13%で前回を3ポイント以上上回り、現時点で過去最高に達したとされている。
当日投票が冷え込み、事前投票だけ盛り上がる。一見矛盾して見えるこの『ねじれ』は、何を意味しているのか。
筆者にはこう読める。投票そのものへの関心が消えたのではなく、投票という行為が『日曜の予定』から外れただけではないか、と。土日の天気、レジャー、仕事のシフト。当日にわざわざ足を運ぶより、行ける日に先に済ませておく。投票が生活の隙間に溶け込んだ結果が、この数字なのかもしれない。
「期日前で済ませたから当日は数に入ってないだけでしょ」「むしろ投票しやすくなった証拠では」という声もネット上では出ている。
『関心の低下』と片付けるのは早い
低投票率というと、反射的に「政治離れ」「無関心」と語られがちだ。だが期日前が過去最高という事実は、その説明だけでは足りないことを示している。
むしろ問うべきは、投票行動の『重心』が動いているという事実のほうだろう。日曜の投票所に並ぶ光景が標準だった時代から、平日の昼休みや帰り道に役所で一票を入れる時代へ。投票率というひとつの数字を見て一喜一憂する前に、その中身がどう変質したかを見たほうがいい。
投票率が下がった=関心が消えた、とは限らない。期日前が過去最高ということは「投票したい人」の総数は減っていない可能性がある。下がったのは『当日に投票所へ行く』という特定の行動様式かもしれない、という見方ができる。
現職3選が意味すること
花角氏の3選が確実になったことで、原発をめぐる県の姿勢や、これまでの県政の路線が一定の支持を得た形になった、という見方がある。挑戦した新人2人がそれぞれ『県政転換』『原発廃止』を掲げていたことを踏まえると、有権者は大きな変化より継続を選んだ、とも読める。
ただし、低い当日投票率のなかで得た勝利であることは付記しておきたい。投票に行かなかった層の意思は、結果のどこにも反映されない。当選の重みと、選挙そのものへの参加の薄さ。この二つは別々に評価する必要がある。
新潟という、原発を抱え、人口減少と向き合う県の選択は、同じ課題を持つ他の地域にとっても他人事ではない。あなたの住む街の次の選挙でも、同じ『ねじれ』が起きるかもしれない。
投票率が下がったこと、どう受け止めた?
開票が終われば、最終的な投票率も出そろう。その数字を、ただの高い低いではなく『中身』で読む。深夜にニュースを追うなら、そこまで見届けたい。