同じゲームでも、3時間溶ける人と20分で投げ出す人がいる。理由はゲーム側じゃなく、プレイヤーの内側にある“動機の型”の方。日常の小さな選び方から、それが見える。
ゲームとの相性は“内側の動機”で決まっていた
1996年、心理学者リチャード・バートルがオンラインゲーム(MUD)のプレイヤーを観察して、人が遊ぶ動機を4つに分けた。達成型(Achiever)・探索型(Explorer)・社交型(Socializer)・競争型(Killer)。30年経った今でもゲームデザインの教科書に必ず登場する古典理論だ。
面白いのは、この型がゲームの趣味とほぼ無関係に、日常の選び方ににじみ出ているところ。コンビニでお菓子を選ぶ時、旅行先で時間が余った時、引っ越し先の部屋で最初に何をするかーー全部、同じ“動機の重心”が動いている。
Bartle分類の2軸
(1) 関心の対象:「ゲーム世界そのもの」か「他のプレイヤー」か
(2) 関与のしかた:「行動する」か「相互作用する」か
この組み合わせで4タイプが生まれる。
6問で診断する
設問はゲームと一切関係ない。なぜそれで分かるのかは、結果を見れば腑に落ちるはず。
Q1. コンビニのお菓子コーナーで足を止めた。手に取るのはどれ?
Q2. 旅行先で予定より2時間ほど余った。何をしている?
Q3. 連休前夜、明日からどう過ごすか考えている。最初に決めるのは?
Q4. 引っ越した部屋で、最初の一日に取り組むのは?
Q5. 仕事や勉強で行き詰まった。最初の一手は?
Q6. 知らないジャンルの映画を観ることになった。観る前に何をする?
診断結果
関係性駆動型プレイヤー(Socializer)—— “誰かと共有する文脈”で初めて熱が入るタイプ
例えば、こんな場面に心当たりはないだろうか。
- 一人でやるソロゲームは始めても30分で飽きる
- フレンドが入っているかどうかでログインの動機が変わる
- クリア後に「あの場面どうだった?」と話す相手がいないと、そもそも始められない
- ストーリーよりキャラ同士の関係性のほうが記憶に残る
自己決定理論で言うと「関係性の欲求」が動機の中核にある。ゲーム内の進行ではなく、ゲームを通じて起きる人とのやり取りに脳が報酬を感じる構造になっている。ソロで黙々と進めるタイプの名作を「合わなかった」と切り捨てがちなのは、意志の弱さじゃなく、純粋に動機の燃料が違うだけ。
強み:コミュニティを育てる力。協力プレイやMMOでは、戦力よりムードを作る役割を担える。
気をつけたいこと:「友達がやめたら自分もやめる」が起きやすい。たまには内側の興味だけでゲームを選ぶ訓練をしておくと、幅が広がる。
代表キャラ:ペルソナシリーズの主人公(コミュランクを上げてなんぼ)
探索駆動型プレイヤー(Explorer)—— マップの隅・隠し要素・裏の仕様にだけ熱が入るタイプ
例えば、こんな場面に心当たりはないだろうか。
- メインストーリーよりサブクエストや寄り道に時間を使う
- 攻略サイトを見ないことに謎のこだわりがある
- ガチャや課金より、隠し通路や裏技を見つけた瞬間に興奮する
- “クリアする”より“やりつくす”が目的になっている
ビッグファイブで言うと開放性が高いタイプ。脳が“未知の情報”を見つけたときにドーパミンを出しやすい作りなので、効率より発見そのものが報酬になる。攻略サイトを見ないのも、せっかくの報酬を先取りされたくないという無意識の防衛反応だ。
強み:深掘り力。オープンワールドやメトロイドヴァニアで真価を発揮する。誰も気づかない仕様を会話のネタにできるタイプ。
気をつけたいこと:メインを後回しにしすぎて、結局クリアまで辿り着かないパターンが起きやすい。寄り道で本筋を見失わないように。
代表キャラ:ゼルダ BotW で祠より塔より先にコログを探しに行くタイプ
達成駆動型プレイヤー(Achiever)—— 進捗バー・実績解除・コンプリート率に魂を縛られるタイプ
例えば、こんな場面に心当たりはないだろうか。
- トロフィー・実績が100%にならないと終わった気がしない
- レベル上げの作業が苦じゃないどころか好き
- “やりこみ要素”という言葉に脳が反応する
- セーブデータの総プレイ時間を見るのが地味に好き
ビッグファイブで言うと誠実性が高く、自己決定理論で言うと有能感の欲求が前面に出ているタイプ。「完了」「区切り」という構造そのものに脳が快感を覚える作りになっている。クリア後にもう一周する律儀さの正体はこれだ。
強み:継続力と完遂力。一度始めたゲームをちゃんと終わらせる力は、思っているより貴重な才能。
気をつけたいこと:楽しむためじゃなく“埋めるため”にプレイし始めた日が、一度休む合図。義務化したゲームは一番つまらないから。
代表キャラ:あつ森でカタログを完成させずにはいられない人
競争駆動型プレイヤー(Killer)—— 他のプレイヤーがいて勝ち負けがある時だけ本気が出るタイプ
例えば、こんな場面に心当たりはないだろうか。
- ランクマッチがある瞬間からログイン頻度が一気に上がる
- 「強くなる」より「相手より強い」が動機になる
- 上手い人の配信を分析的に見る(楽しむより研究)
- ソロのRPGでもPvP要素のあるモードに真っ先に行く
動機構造としては外向性と社会的比較欲求の組み合わせに近い。「相手という基準」があるほうが脳の報酬系が燃える設計になっている。一人用ゲームでベストスコアを更新するより、知り合いのスコアを抜くほうが圧倒的に達成感を得やすいのはこのため。
強み:伸び率の速さ。負けたあとの分析と修正が早いので、対戦ジャンルでは短期間で上位に食い込める。
気をつけたいこと:勝てない時期にゲームそのものを嫌いになりやすい。連敗が続いたら一度ランクから離れ、カジュアル側で目を慣らすほうがいい。
代表キャラ:ストリートファイターのリュウ的、ひたすら自分より強い相手を探すタイプ
結果の構造 — 4タイプの正体
Bartleの分類だけ見ると「で?」で終わる。これに自己決定理論やビッグファイブを重ねると、なぜ自分がそういう動機構造になっているのかが見えてくる。タイプは“性格”じゃなく“動機の重心”だから、状況で動く。
| タイプ | 響くゲーム | 心理学的根拠 | つまずきやすい所 |
| ソーシャライザー | MMO・協力プレイ・パーティゲーム | 関係性の欲求(SDT) | ソロでは続かない |
| エクスプローラー | オープンワールド・謎解き | 開放性(Big Five) | メインを後回しに |
| アチーバー | RPG・育成・収集 | 誠実性・有能感欲求 | “埋め作業”化する |
| キラー(競争型) | FPS・格闘・MOBA | 社会的比較欲求 | 負け続けると嫌悪へ |
1タイプに固定されない
人は1つの型に張り付かない。25歳前後でキラー寄りだった人が30過ぎてエクスプローラー寄りに移るのは、よくある話。今の結果は“今の自分の動機の重心”でしかない。
動機がわかると、ゲーム選びでハズれない
動機の型を知っておくと「評判はいいのに自分には合わなかった」の理由が、ゲーム側じゃなくこっち側にあったとわかる。
ソーシャライザーがソロRPGの名作を放置するのも、アチーバーがオープンワールドの自由度に途方に暮れるのも、構造として自然な反応。意志の問題じゃない。
タイプを変えようとするより、タイプに合う燃料を探すほうがずっと早い。
その上で、たまに苦手なジャンルに踏み込んでみると、動機の重心そのものが少し広がる感覚がある。同じゲームを違うレイヤーで楽しめる脳ができる。タイプを知って一番得することは、たぶんそこ。
あなたのタイプ、当たってた?
診断結果、自分のゲームの遊び方に当てはまっていた?