「助けて投稿」の賛否と、SNSは孤独を深めるという米研究 — いま画面の向こうで起きていること

SNSの「助けて」投稿に賛否が割れているとの報道がある。同時期にCNNが伝えた米研究は、SNSが孤独を深める可能性を指摘した。重ねて読むと見えてくるものがある。
「助けて投稿」に向けられる賛否
Yahoo!ニュースなどによると、SNSで「助けてください」と発信する投稿に対して、評価が二分しているという。
救いを求める声に「行動できないより、まず発信していい」と背中を押す意見がある一方、「不特定多数に向けて投げるのはリスクが高い」「身近な相談先を持つべきだ」という声もある。
「電話できない状況の人もいる。SNSしか手段がないこともある」「逆に悪意ある人間に見つかる方が怖い」という両方の意見がネット上で交差しているとの指摘もある
この賛否、どちらが正しいとも単純に言い切れない。ただ「助けて」と書ける場所がSNSしかない人がいる、という事実だけは残る。
米研究の指摘 — SNS交流は孤独を深める可能性
CNNが伝えたところによると、米国の研究チームがSNSでのやりとりと孤独感の関係を調査した結果、対面での友人関係こそが孤独を和らげる主因で、SNS上の交流は逆に孤独を深める可能性があるとされている。
研究は「SNSが悪」と断じているわけではない。対面の関係の代替としてSNSに依存した場合に孤独感が増す傾向がある、という指摘である。SNS自体を遮断すべきだという話ではない。
これを読んで、ひっかかった人もいるはずだ。「対面で人と会えるなら、最初から助けを求めて投稿していない」という声が出るのは想像に難くない。
子どもの「1日35時間」報道との重なり
NHKは、子どもがスマホやSNS関連の画面に向かう時間が、複数のデバイスを並行使用すると「1日35時間」相当に達するケースもあると伝えた。1日24時間を超える数字が出る理由は、同時並行の利用時間を合算しているからだ。
24時間を超える数字は、スマホ・タブレット・PCなど複数デバイスの並行利用時間を合算した結果と報じられている。物理的な拘束時間というより、画面接触の総量を示す指標である。
この数字に驚いた大人は多い。だが、夜更けにスマホを手にしている自分自身が、どれだけの時間を画面に注いでいるかを思い返すと、笑えなくなる人もいるのではないか。
矛盾の中で僕らは何を選んでいるのか
整理するとこうなる。SNSは「助けて」と叫べる唯一の場所になり得るが、同時に孤独を深める装置でもあると指摘されている。子どもにとっては依存リスクが警告され、大人にとっても無縁とは言えない。
この矛盾を一つの結論で切り捨てるのは難しい。SNSを完全に遮断すれば、孤立は防げるどころか加速する可能性すらある。逆にSNSにすべてを預ければ、対面の関係性は痩せていく。
「SNSのおかげで救われた」「SNSのせいで余計に虚しくなった」 — 同じ人の中に両方の経験があることも珍しくない、という感想がネット上には少なくない
夜中、画面をスクロールしながらこの記事を読んでいる人がいるとしたら、おそらく無意識のうちにこの矛盾の中にいる。誰かと繋がっているような感覚と、それでも残る寒さ。両方を抱えたまま、画面を閉じる。
米研究が示したのは、SNSをやめろという結論ではなく、「対面の関係も残しておけ」という当たり前で、しかし忘れがちな事実だった。
規制論との距離
子どものSNS利用については、規制強化を議論する動きも出ているとされる。海外では、年齢制限を法律で定める国も増えてきている。日本でも今後、似た議論が広がる可能性は十分にある。
ただ、規制という入り口だけでは、「助けて」と書く場所を失う人を救えない。SNSをどう使うか、どこで人と会うか、自分の生活の中で比率をどう設計するか — 結局そこに戻ってくる。
SNSと孤独、あなたの実感に近いのはどれ?
| 観点 | 「助けて投稿」を肯定する立場 | 「助けて投稿」を否定する立場 | 米国研究(Pittsburgh大2017)が示す傾向 |
|---|---|---|---|
| 動機 | 110番や119番を呼ぶ前のSOS、第三者の介入を期待 | 承認欲求や注目集めの手段になりがち | SNS利用2時間超で孤独感が約2倍に上昇 |
| 主な利用層 | 10〜20代の若年層、いわゆる「Z世代」 | 過去にトラブル経験のある30〜40代 | 19〜32歳1,787名を対象に調査 |
| リスク | 位置情報の特定、悪意ある第三者の接触 | 緊急事態宣言下の医療逼迫を悪化させる懸念 | SNS頻度上位25%は孤独感3倍以上 |
| 推奨される代替行動 | 「よりそいホットライン(0120-279-338)」への連絡 | 家族・友人へのDMやLINE通話 | 1日30分未満の利用に抑える |