銀河の中心を5分ごとに撮り続ける — NASAローマン望遠鏡が見つける10万個の惑星

銀河の中心を5分ごとに撮り続ける — NASAローマン望遠鏡が見つける10万個の惑星
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夜空に光って見える星の、ほとんどに惑星がついている。だがその大半は、まだ誰も数えていない。NASAが2027年に打ち上げを予定する望遠鏡は、わずか数年で約10万個を見つけ出すと予測されている。

「100,000」という数字の重さ

これまで人類が見つけた太陽系外惑星は、約30年かけてようやく6,000個前後。ケプラー、TESSといった望遠鏡が地道に積み上げてきた数字だ。

そこへ、ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡が一本だけのサーベイで桁を一つ増やそうとしている。研究チームの試算では、銀河系の中心方向を長期間にわたって監視する「銀河バルジ時間領域サーベイ」だけで、惑星の前を横切る影から見つかる候補が10万規模にのぼるという。

これまで30年で約0個。ローマン望遠鏡は数年で約0個を見込む。発見のペースが、文字どおり桁違いになる。

数字を並べると、何が起きようとしているのかがはっきりする。

望遠鏡 主な活動時期 惑星の数
ケプラー 2009〜2018 確認済み 約2,700(公式サイト参照)
TESS 2018〜運用中 候補 数千(公式サイト参照)
ローマン 2027〜(予定) 約100,000(予測値)

どうやって、見えないものを数えるのか

仕掛けは、ばかみたいに単純な観測の繰り返しにある。銀河系の中心が混み合った星の海に向けて、同じ領域を何分かおきに、何ヶ月も撮り続ける。

惑星そのものは暗すぎて写らない。代わりに、惑星が手前を横切った一瞬、奥の星のわずかな減光をとらえる。これがトランジット法と呼ばれる手口だ。星の前を虫が横切ったときの、ほんのちらつきを拾うようなもの。

ローマンにはもう一つ武器がある。重力マイクロレンズ — 手前の天体の重力が、はるか奥の星の光を一瞬だけレンズのように曲げて明るくする現象。これを使うと、星から遠く離れた惑星や、そもそも恒星を持たずに宇宙をさまよう「自由浮遊惑星」までかかってくる。

研究チームによれば、ローマンは恒星を一つも持たずに暗闇を漂う惑星 — 太陽のない世界 — も、これまでにない数で見つけられると見込まれている。

暗闇をさまよう、太陽のない惑星

この話で個人的にいちばん引っかかったのは、自由浮遊惑星のくだりだった。

地球には太陽がある。月がある。当たり前すぎて意識しない。だが宇宙には、どの恒星にも属さず、永遠の夜の中をただ進み続ける惑星がいる。理論上は、そういう「はぐれ者」が銀河系には恒星より多いかもしれない、という見積もりすらある。

夏の夜、エアコンの効いた部屋でスマホを眺めているこの瞬間にも、頭上のどこかを、誰にも見られないまま惑星が一つ通り過ぎているかもしれない。ローマン望遠鏡がやろうとしているのは、その「見られないまま」に名前をつける作業だ。国勢調査に近い。誰が、どこに、どれだけいるのか。銀河の住人を、初めてまともに数える。

数えられて初めて、それは「ある」になる。これまで惑星は、見つかった分しか存在しなかった。

恒星を持たず暗闇をさまよう惑星が、銀河には星より多いかもしれない。この話、どう受け取った?

ただし、まだ一つも見つかっていない

盛り上げておいて水を差すようだが、ここまでの「10万個」は、すべて打ち上げ前の予測値だ。

ローマン望遠鏡はまだ宇宙にいない。2027年5月までの打ち上げを目指して地上で組み立てが進む段階で、10万という数字は、過去の観測データと望遠鏡の設計性能をもとにしたシミュレーションから出てきたもの。実際の混雑した星野では、別の星の光が紛れ込んで「惑星のフリ」をすることもある。候補のうち、どれだけが本物として確認されるかは、観測が始まってからの話になる。

研究チーム自身も、これは「期待される収穫量」であって確定した発見ではない、という前提で論文を書いている。打ち上げが遅れる可能性も、宇宙開発にはつきものだ。最新の日程はNASAの公式サイト参照

それでも、数年後に空を見上げるとき、頭の片隅にこの数字が残っているかもしれない。あの暗がりに、まだ名前のない世界が10万個。数えられるのを、待っている。

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