外食の現場が『上限5万人』で止まった — 特定技能の受け入れ枠を読み解く

外食業界で働く外国人の受け入れが、上限とされる5万人に達して止まったとの報道がある。入社を待っていた専門学校の生徒の中には、夢を絶たれた人もいるという。
何が起きたのか
名古屋の手羽先チェーン「世界の山ちゃん」を運営する会社も悲鳴を上げている、とCBCテレビが伝えている。外食分野で外国人を雇うための「特定技能」という在留資格に、年度の受け入れ枠が設けられていて、その枠が早々に埋まってしまったらしい。
枠が埋まると、どうなるか。すでに日本で学び、4月や夏からの就職を心待ちにしていた留学生が、内定をもらっていても在留資格に切り替えられない。働く場所はあるのに、制度の数字が先に天井に当たった格好になる。
なぜ「枠」があるのか
特定技能は、人手不足が深刻な分野に限って外国人の就労を認める仕組みとして2019年に始まった。介護、建設、農業、そして外食。分野ごとに「この期間で何人まで」という受け入れの見込み数が決められていて、これが事実上の上限として働く。
無制限に入れない理由は、賃金や雇用環境への影響を見極めながら段階的に広げる、という建前にある。ただ現場の感覚と、机の上で引かれた数字のあいだに、ずれが生まれていたのではないか。外食は深夜まで人が要る業種だ。コンビニも、居酒屋も、ファミレスも、夜を回しているのは誰か——スマホをいじりながら牛丼チェーンに入ったとき、レジの向こうにいる顔ぶれを思い出してほしい。
「人が足りないって言ってたのに、受け入れは止めるの? どっちなんだ」というツッコミの声もある。
ネット上では、制度の設計そのものに首をかしげる意見が目立つ。枠が足りないなら増やせばいい、という単純な話に見えて、増やせば賃金が上がりにくくなる、という反対側の懸念もある。どちらの言い分も、それなりに筋は通っている。
「夢を絶たれた生徒」という言葉の重さ
気になったのは、報道に出てきた「夢を絶たれた生徒」という表現だった。日本語を勉強し、調理や接客を学び、ここで働くつもりで何年も準備してきた人がいる。その人にとって枠の上限5万人は、統計の一行ではなく、自分の進路そのものだ。
制度の枠は年度が替われば再び開く可能性がある、とされている。だが「来年まで待って」と言われた当人の生活は、その間も続く。家賃も、ビザの期限も、待ってはくれない。
| わかっていること | まだ不透明なこと |
|---|---|
| 外食分野の受け入れが上限到達で止まった(報道) | 枠が再び開くのが具体的にいつか |
| 内定済みでも切り替えられない人がいる | 待機中の生徒への救済措置の有無 |
| 外食は慢性的な人手不足が続く | 来年度以降の枠が拡大されるか |
この件を、どう受け取るか
人手不足という言葉と、受け入れストップという事実が、同じニュースの中で同居している。矛盾しているように見えて、制度が「数字で管理する」という前提を置いている以上、避けられないぶつかり合いなのかもしれない。筆者には、枠の上限という数字が、現場の実感に追いついていない徴候に読めた。
深夜の街を回しているのは、案外こうした人たちだ。次に夜中の店で誰かに料理を出してもらったとき、その人がどんな枠の内側にいるのか、少しだけ想像が及ぶようになる。
外食の外国人受け入れ「上限5万人」、どう思う?