毎晩スマホで小説読んでる人、脳に何が起きてるか知ってる?

布団に潜ってKindleを開いた瞬間、脳の中で何が起きているのか。サセックス大学の研究チームが計測したところ、わずか6分の読書でストレスホルモンが68%下がっていた。音楽や散歩より速かった。
「読書脳」は実在するらしい
エモリー大学のグレゴリー・バーンズ教授のチームが、被験者に9日間連続で同じ小説を読ませ、毎朝fMRI(脳の血流から活動を可視化する装置)で脳をスキャンした。すると、物語を読み終えた翌朝も、左側頭皮質という言語処理エリアの結合が強まったままだった。
面白いのはここから。
その「読書後の脳の変化」は、最後のページを閉じてから5日経っても消えなかった。バーンズ教授いわく「小説を読むことは、肉体的な経験を脳に物理的に刻み込む」。比喩じゃなくて、本当に脳の配線が変わっている。
SNSスクロールとは別物
ここで疑問が湧く。じゃあTwitter(現X)でバズツイートを延々追うのと、何が違うのか。
2023年にネイチャー系列の『Scientific Reports』に載った研究では、紙の本やデバイスでまとまった文章を読む群と、SNSの短文を読む群を比較した。結果、長文読書群だけが「集中持続時間」と「共感性スコア」で改善を見せた。短文スクロールには同じ効果がなかった。
「短文の連続接触は、脳にとって読書というより刺激の連打に近い」と研究チームは指摘している。
スマホで読んでも効果がある、という別の知らせもある。トロント大学の2022年の研究では、紙か電子かより「同じ物語に20分以上没入したか」のほうが脳活動への影響が大きかった。デバイスは関係ない。問題はぶつ切りかどうか。
寿命まで伸びるって本当?
イェール大学公衆衛生学部が3,635人の50歳以上を12年追跡した有名な研究がある。週に3.5時間以上本を読んでいた人は、まったく読まない人と比べて死亡リスクが23%低かった。新聞・雑誌だと17%。本だけ突出していた。
| 活動 | ストレス低下率 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 読書 | 68% | 6分 |
| 音楽鑑賞 | 61% | 数分 |
| 散歩 | 42% | 数分 |
| 紅茶 | 54% | 数分 |
※ サセックス大学Lewis博士チームの計測値より。
注意点もある
こんな良いことばかりだと、逆に怪しい。実際に限界はある。
イェールの寿命研究は相関であって因果じゃない。「もともと健康で教養のある人が本を読む傾向」を否定しきれていない。バーンズ教授の脳スキャン研究も、被験者は21人と少なめ。
あと俺の体感だけど、寝る前にミステリーを読み始めると、続きが気になって2時間溶ける。リラックスのつもりが睡眠時間を削っていたら本末転倒。研究者も「ジャンル選び」には触れていて、激しい展開のものは寝る前に向かないらしい。
それでも、深夜にショート動画を100本スクロールするより、6分だけ小説を開いたほうが、脳にも心にも体にも何かが起きている。それは数字が示している。
あなた、最近本読んだ?
今夜、枕元にある積読を1冊だけ開いてみる。それだけで明日の脳が少し違うかもしれない、という話。
参考・出典
- Short- and Long-Term Effects of a Novel on Connectivity in the Brain (Berns GS, Blaine K, Prietula MJ, Pye BE, 2013) — Brain Connectivity
- A chapter a day: Association of book reading with longevity (Bavishi A, Slade MD, Levy BR, 2016) — Social Science & Medicine
- Reading can help reduce stress (University of Sussex Mindlab study) (Lewis D, 2009) — University of Sussex